tm1984のブログ

耳をすませばの雫のように、稚拙でも何かを始めてみたい、何か新しいことを始めることに価値があるはずだ。そんな気持ちでブログはじめました。

vol.1 納豆の想い出

納豆をかき混ぜるのは祖父の仕事だった。

夜七時のNHKのニュースを欠かさず観て、七時半に観終わるや床につく、赤いきつねを愛する寡黙な昭和の男である。

夏の朝。テレビに映る球児たち。

祖父は納豆をかき混ぜている。醤油を入れる。そしてまた、かき混ぜる。納得の表情だ。

よく泡立っている。白身も入れるのが祖父の流儀である。

絶妙な塩梅。祖父でなければできない仕事だ。

あの味に近づきたい。あの味を後世に伝える義務が僕にはあるはずだ。

でも、美味しいだろう?祖父譲りの納豆は。

納豆をかき混ぜていると、あの夏の風景と祖父の横顔を思い出す。

今では僕の仕事だ。